1998年4月19日(日)

磐梯吾妻スカイライン

昨日は土湯でのんびりとハイキングだったので、今日は気合を入れて走る。 昨年走る自信がなかった磐梯吾妻スカイライン。 今シーズンはまだ走り込みがなくて不安は多いが、 春の開通直後の雪の壁は今しか見られない。 気合だ。

6:10起床し、7:00には出発。 福島まで高速にのり、8:00にはあづま運動公園から走り出すことができた。 満開の桜のトンネルをくぐり、広域農道の杏畑を脇に見る。 福島の吾妻山麓は有数のフルーツ産地だ。 南風が暖かい。 平坦地で脚を慣らした後に高湯街道に入り、遥かそびえる雪山を目指して登りだす。

(写真1: 桜のあづま運動公園) (写真2: フルーツ畑と吾妻小富士)

高湯温泉まで約7 kmで500 mほど標高を上げる。 ものすごい急勾配だ。 スミレや名の知らない花々。 遅い桜。 足が攣らないように、気を紛らわせながら、急がないように走る。 時々、魔法瓶に入れた温かいスポーツドリンクを飲み休憩する。 辛かった高湯温泉までの道のりだったが、 温泉宿の窓から手を振ってくれる仲居さんがいて、大いに感激した。

さてここからが磐梯吾妻スカイライン。 先週半ばに雪解け開通したばかりで、今週が初めての週末。 思ったより今年は雪が少ないようだ。 ここから最高地点の浄土平まで800 m標高を上げる。 距離は15 km。 ここまでよりは平均傾斜は緩いが、疲れはたまっている。 登り坂に限って向かい風。 雪が土手に残るようになってきた。 風が冷えてきて、暑くて脱いでいたYシャツをはおる。 一切経山と吾妻小富士が近くなってきた。

(写真3: 雪の壁) (写真4: 浄土平までもう少し)

ようやく正午少し前に、浄土平到着。 標高海抜1600 m。 あづま運動公園から約1400 m登ったことになる。 たった27 kmなのだが、4時間かかった。 さすがに自転車でここまで登る人は珍しいようで、数人から声をかけられた。 目の前の吾妻小富士までハイキング、と思ったが、しばらく歩いて脚が攣った。 強風で体が一気に冷え、 ここまで持ちこたえてきた両脚が悲鳴をあげた。 うーむ。 いかにも観光客が登っている吾妻小富士を目前にして、 いかにも頑強な僕が退却するとは。 また今度の機会に登ろう。

(写真5: 浄土平) (写真6: 雪渓残る一切経山)

一切経山の雪渓では山スキーを楽しむ人の姿が見える。 冬山に登った下りを山スキー滑って下れたら楽しいだろうな。 昼食をとった後、すぐ南の桶沼へ。 誰の足跡も無い雪の上を、自分の好きなルートで跡をつけていく。 吾妻小富士とはうって変わって、誰一人居ない静かなお釜だ。 沼の水は凍っているが、そろそろ解けだしそうな雰囲気だ。

(写真7: スカイライン頂上付近) (写真8: 土湯峠)

さて後半の走り。 スカイライン最高地点 (1622 m) の看板を過ぎ、あとはひたすら1400 mを下るのみ。 帽子が飛んでいってしまいそうなので、ジャケットの内側にしまう。 時速60 km超えのダウンヒルにしびれてきた。 春霞み。 薄ぼんやりと安達太良連峰や磐梯山を眺めることができる。 スカイラインの南の終点が土湯峠。 標高1240 m。 充分高い峠なのだが、今の僕にとっては、下っている最中の通過点でしかない。 今の国道はトンネルとなり、福島から猪苗代に抜けるのはそれほど苦ではない。 でも一昔前にはこの峠を越えねばならなかったのだから、余程大変だったろう。 魅力的な一軒宿の温泉を横目に見ながら、旧国道を下る。 ほとんど全くペダルを漕ぐ必要が無い。 国道115号線に出てからは、昨日水芭蕉を見にやって来た土湯への道。 土湯温泉を見下ろしながら、自転車は一気に下る。 桜や桃、杏が咲く福島盆地に戻ってきた。 吾妻は雲間から雪をかぶった姿を見せていた。 たった2時間前にはあの頂き近くにいたんだ。 そう思うと、自転車の行動範囲の広さに改めて感心した。

(地図9: 今回のルート概略)

走行距離は67.7 kmだが、標高差1400 mのサイクリング。 これまで数多く走ってきた中でも、屈指の難コースだ。 良く走ったものだ。




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