昨日は土湯でのんびりとハイキングだったので、今日は気合を入れて走る。 昨年走る自信がなかった磐梯吾妻スカイライン。 今シーズンはまだ走り込みがなくて不安は多いが、 春の開通直後の雪の壁は今しか見られない。 気合だ。
6:10起床し、7:00には出発。 福島まで高速にのり、8:00にはあづま運動公園から走り出すことができた。 満開の桜のトンネルをくぐり、広域農道の杏畑を脇に見る。 福島の吾妻山麓は有数のフルーツ産地だ。 南風が暖かい。 平坦地で脚を慣らした後に高湯街道に入り、遥かそびえる雪山を目指して登りだす。
高湯温泉まで約7 kmで500 mほど標高を上げる。 ものすごい急勾配だ。 スミレや名の知らない花々。 遅い桜。 足が攣らないように、気を紛らわせながら、急がないように走る。 時々、魔法瓶に入れた温かいスポーツドリンクを飲み休憩する。 辛かった高湯温泉までの道のりだったが、 温泉宿の窓から手を振ってくれる仲居さんがいて、大いに感激した。
さてここからが磐梯吾妻スカイライン。 先週半ばに雪解け開通したばかりで、今週が初めての週末。 思ったより今年は雪が少ないようだ。 ここから最高地点の浄土平まで800 m標高を上げる。 距離は15 km。 ここまでよりは平均傾斜は緩いが、疲れはたまっている。 登り坂に限って向かい風。 雪が土手に残るようになってきた。 風が冷えてきて、暑くて脱いでいたYシャツをはおる。 一切経山と吾妻小富士が近くなってきた。
ようやく正午少し前に、浄土平到着。 標高海抜1600 m。 あづま運動公園から約1400 m登ったことになる。 たった27 kmなのだが、4時間かかった。 さすがに自転車でここまで登る人は珍しいようで、数人から声をかけられた。 目の前の吾妻小富士までハイキング、と思ったが、しばらく歩いて脚が攣った。 強風で体が一気に冷え、 ここまで持ちこたえてきた両脚が悲鳴をあげた。 うーむ。 いかにも観光客が登っている吾妻小富士を目前にして、 いかにも頑強な僕が退却するとは。 また今度の機会に登ろう。
一切経山の雪渓では山スキーを楽しむ人の姿が見える。 冬山に登った下りを山スキー滑って下れたら楽しいだろうな。 昼食をとった後、すぐ南の桶沼へ。 誰の足跡も無い雪の上を、自分の好きなルートで跡をつけていく。 吾妻小富士とはうって変わって、誰一人居ない静かなお釜だ。 沼の水は凍っているが、そろそろ解けだしそうな雰囲気だ。
さて後半の走り。 スカイライン最高地点 (1622 m) の看板を過ぎ、あとはひたすら1400 mを下るのみ。 帽子が飛んでいってしまいそうなので、ジャケットの内側にしまう。 時速60 km超えのダウンヒルにしびれてきた。 春霞み。 薄ぼんやりと安達太良連峰や磐梯山を眺めることができる。 スカイラインの南の終点が土湯峠。 標高1240 m。 充分高い峠なのだが、今の僕にとっては、下っている最中の通過点でしかない。 今の国道はトンネルとなり、福島から猪苗代に抜けるのはそれほど苦ではない。 でも一昔前にはこの峠を越えねばならなかったのだから、余程大変だったろう。 魅力的な一軒宿の温泉を横目に見ながら、旧国道を下る。 ほとんど全くペダルを漕ぐ必要が無い。 国道115号線に出てからは、昨日水芭蕉を見にやって来た土湯への道。 土湯温泉を見下ろしながら、自転車は一気に下る。 桜や桃、杏が咲く福島盆地に戻ってきた。 吾妻は雲間から雪をかぶった姿を見せていた。 たった2時間前にはあの頂き近くにいたんだ。 そう思うと、自転車の行動範囲の広さに改めて感心した。
走行距離は67.7 kmだが、標高差1400 mのサイクリング。 これまで数多く走ってきた中でも、屈指の難コースだ。 良く走ったものだ。