2003年4月29日(火)

カヌー久慈川下り 〜トホホの巻

今回は自分に対してトホホとともに、自然に対してその厳しさを改めて知ることになった。
6月に入ると太平洋に注ぐ川が、7月になると日本海の川が、それぞれ鮎釣りが解禁されるため、 とてもではないがカヌーどころではなくなる。 そこで、今日は福島から茨城に流れる名川の久慈川を下ることにした。 自転車や車で何度も訪れたことはあるが、未だにカヤックで下ったことはない。 中流部は急流だと思っていたが、ついこの前に出たカヌー雑誌では下れそうなことが書いてあった。

5:30の目覚ましで目を覚ましたものの2度寝をしてしまった。 6:30に再度目覚めすぐに出発。 常陸大子から下るつもりでいたが、1時間の寝坊をしたので、袋田から出発することにする。 河原に荷を下ろし、車は駅前に停める。 駅から河原の距離は200-300 m程度と近く、便利だ。 9:30には愛艇のボイジャー415を組み上げて出発。 愛用のパドルのミスティック (ニンバス社製の4ピースパドル) の柄にヒビが入っていた。 そう言えば川下りは昨夏の球磨川以来だ。 いつ柄が裂けてしまったのかも分からない。

(写真1: 新緑の河原) (写真2: 川の様子)

所々に岩が露出している。 新緑が眩しい。 青空、無風。 とても穏やかな春の日だ。 ただ水は冷たいと思えたので、上下ドライスーツを着用した。 日を浴びると暑いくらいだ。 2級程度の岩混じりの瀬がいくつか。 そのたびに上陸し、ルートを確認。 そして思ったとおりのルートを通り、瀬を抜けていく。 久々だからかカヤックが重く感じる。 雑誌で難所とされていたシャモの瀬もクリア。 気分良く、鰐ヶ渕橋下へ。 ここも岩がいくつも見え、狭い水路になっていた。 ただこれまで何度も降りたり乗ったりと面倒くさくなっていたので、 エイヤッとそのまま行ってしまった。

これがいけなかった。 いくつかの岩を抜けたところで曲がれず、 少しだけバランスが崩れ右の岩に触れた。 ここで一瞬の判断が出来なかった。 すぐに降りれば良かった。 ほんの2-3秒の迷いのうちに徐々に水圧に押され、 傾き、スカート (水よけ) をしていなかったコックピットに水が入ってきた。 そして沈。 沈だけなら何てことはない。 良くあることだ。 でも岩場。 カヤックが岩に張り付き、 内部に大量の水が入り込んだ。 水圧と100kG以上の水の重みでカヤックはビクともしない。 そして見る見るうちにひしゃげ始めた。 ぬおーっ!! 渾身の力をこめて、 片側を何とか流れから外し、やっとのことで岩から引き離す事が出来た。 カヤックとともにしばらく流され、ようやく上陸。 ドライスーツを着ていたからか、 必死だったからか、水を冷たく感じている余裕はなかった。

カヤックにたっぷり入った水を抜く。 アルミフレームが見事に曲がった。 だが幸いなことに5本ある底面のパイプのうち2本は曲がってなく、 カヤックとしての形は保てていた。 穏やかな春の日差しの中、 国道の橋の下でこんな場面が繰り広げられていたとは、だれが想像するだろう?

(写真3: 曲がったフレーム) (写真4: 下小川でゴール)

さて、気落ちしている暇はない。 パドルが流されてしまっている。 予備パドルを出して川を下る。 たまたま河原で遊んでいた親子が、 パドルが流されたのを目撃していた。 おかげで数100 m先にプカプカ浮いていたパドルを見つけるのは案外簡単だった。

その後は慎重だった。 奥久慈橋下の瀬はクイックなターンが必要な狭い瀬だったが、 既に壊れているカヤックだからと大胆なパドリングでクリア。 波が立つ瀬では必ず下見をした。 計4箇所堰になっていて、そのたびにカヤックを引きずったり持ち上げたりと大変だった。 午後になり、向かい風が出てきた。 キールポール (センターのフレーム) が曲がっているため、 颯爽と水面を切るように進むことが出来ない。 下小川に着いたのは14:20過ぎ。 この先の山方宿まで行く事を考えていたが、とても無理。 上陸してカヤックをたたむ。 下小川から列車で袋田に戻り、トホホな旅を終えた。

これまで波の強い鬼怒川や球磨川でも瀬は越えてきた。 でもそこは遊船が通ういわゆる整備された川。 水路は必ず確保されている。 言い換えれば、スキーのゲレンデのようなものだ。 それに対して久慈川は、 波は高くないが水路が狭い。 乗り役の勘とテクニックが要求される。 まだまだ足りんなー。




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