2003年6月29日(日)

大嵐山と駒止湿原

前日の晩、社宅の管理人の家で飲んでいたが、テレビで晴れるとの天気予報を見て、 この梅雨時の貴重な晴れ間にいても立ってもいられなくなった。 二日酔いだったが、 無理やり7:00に出発。 今日登る山は、舘岩村の大嵐山 (おおあれやま)。 とてもマイナーな山で、よほど福島の山好きでないと知らないと思う。 でも標高は1635mあり、帝釈山から会津の眺めが素晴らしいとのこと。 期待する。

湯の花温泉をすぎ、林道を走り登山口を歩き出したのは9:30。 車は一台も停まっていない。 霧雨のようなシトシト雨。 雲の中を歩く。 誰もいない沢沿いの静かな登山道。 雨に濡れたブナの森が、瑞々しく生命感に溢れいている。 標高をグングンあげ、気がついた時には沢から離れ、尾根の登山道へ出た。 ガイドでは1.5時間かかると書いてあったのに、45分しか経っていないので、 逆に現在位置が正しいのか不安に感じる。 けれどやはりガイドにある通り、尾根道が続く。 霧で何も見えないが、晴れていたら展望の良いルートなのだろう。
最後の急坂を登りきると、一気に大荒山の山頂に到着。 1635 m。 11時過ぎに着いてしまい、あっけなく感じる。 標高差は800 m。 これを1.5時間で歩いたのだからペースがすこぶる良かったのだ。 霧で涼しかったからだろう。 天気がよければ、ガイドブック曰く、田代・帝釈、会津駒・朝日、燧ケ岳、七ヶ岳、那須連峰、 日光連山と、南会津の名山はほとんど見渡せるらしい。 今日は展望が無いのが残念だが、 山頂では石南花とウラジロヨウラクツツジが咲いていてホッとさせてくれる。 おむすびの昼食をとり、下山。

(写真1: 大荒山頂上) (写真2: ウラジロヨウラクツツジ)

下山路は往路の途中からの分岐で湯ノ倉山 (1343 m) を経由する。 12:50下山。 結局、下るまでに会った登山客は 1組だけだった。 静かな山。 今度天気の良い時に登り直さねば。

5時間かかると考えていた登山が3.5時間で終わってしまい、まだまだ時間もある。 丁度この季節は花が咲いている良い時期なので、近くの駒止湿原 (こまどしつげん) に行くことにした。

こちらはうって変わって大混雑。 大型観光バスが遠方からやってきて、 さらにマイカーが駐車場から溢れて狭い林道の脇に停まっている。 僕は入山が遅かったので、 丁度帰りの人が出てきたスペースに止めることが出来た。 ラッキー。

(写真3: ヒオウギアヤメ) (写真4: バイケイソウ) (写真5: ニッコウキスゲ)

この駒止湿原は、一番大きな大谷地、次が白樺谷地、一番奥が水無谷地からなっている。 しかも低層湿原、中間湿原、そして高層湿原と、湿原の3つの顔を同時に見ることが出来る。 その結果、狭い中に多くの種類の花々が存在する。 当然、人々はその花々を見るためにいっせいに集まり、大混雑となるのだ。
この時期の代表的な花は、ワタスゲ。 ヒオウギアヤメは終わりかけ、ニッコウキズゲには少し早い。 その他に、バイケイソウ、トキソウ、サワラン、ウラジロヨウラクツツジ、石南花、ツルコケモモ、 モウセンゴケなどなど。 初夏の花々の大競演だ。 でも何と言ってもワタスゲは一見の価値がある。 この広がりは、ここに妖精がフワフワと飛んでいても不思議でないくらい、 天国ってこんなイメージだなーなどと、平気で想像できるくらいの、非日常の世界。

(写真6: ワタスゲの群落) (写真7: 一瞬の晴れ間)

風が冷たくなければ、もっと、ずっと居たかった。 すでに人も疎ら。 帰る間際に少しだけ太陽が射し、一瞬の夏を感じた時に、やっぱりここは天国だったと改めて感じた。




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