いきなり東北一周の大旅行に出るのは、それでも心もとなかった。 7月中旬から大学は夏休みになる。 手始めに、4泊の旅行に出た。 向かったのは、伊豆半島。 反時計回りに一周する旅だ。
南武線から東海道線に乗り換え、輪行で沼津に向かった。 日帰りと宿泊では荷物の量が違う。 全て宿に泊る予定だったとはいえ、背中にはずっしり重いデイバックをかつぐ。
伊豆半島には、海水浴や釣り、温泉などで何度も来ている。 点としては訪れている場所は多い。 でもその位置関係はよく分かっていなかった。
沼津駅で自転車を組み立ててから南下する。 淡島のマリンパークは子供の頃何度も連れてきてもらった。 中学生の頃に電車を乗り継ぎ友達と釣りに来た防波堤の前も過ぎた。 ホテルスカンジナビアから先は未知の世界だった。 大瀬崎を過ぎると、これまで平坦だった地形は急変した。 断崖の西海岸。 崖を縫うように道はアップダウンを繰り返す。 200 mも標高を上げたかと思うと、一気に海岸線まで下り、また登る。 さすがに参った。 土肥までの距離がえらく長く感じた。 ここは伊豆半島外周路のうち、唯一国道ではない区間。 どうりで。 一方で、この経験があればこそ、どこへでも行けるんだという自信につながったことも事実だ。 初日の宿泊は土肥のユースホステル。 観光シーズン前とあってほとんど客が居ない。 静かな夜だった。
翌日からは国道を走るようになった。 そうは言っても相変わらずのアップダウン。 ただ、急峻な地形だからこそ、美しい景観が広がる。 きつい坂を登ったからこそ、雄大な展望があり、下る楽しみがある。 堂ヶ島や波勝崎の名勝、松崎のなまこ壁。 見るものすべてが新鮮だ。 伊豆半島南端の石廊崎へ。 深い青緑の水の色。 断崖の美。 この日の宿は予約していなかったが、飛び込みで石廊崎の国民宿舎へ。 夕食のご飯は食べ放題だったので、食べた食べた。
今日からは、伊豆の東海岸。 途端に道路はなだらかになった。 西海岸で散々苦しめられてきたので、多少のアップダウンも苦にならない。 道路は広く明るい。 南風にも乗って、走る走る。 下田で大分時間を潰したが、それでも予定していた伊豆大川のユースホステルには早い時間に到着した。
その後は真鶴で一泊して横浜の実家へ。
5日間連続して走り、314 km走り切れたことは、大きな自信になり、急にベテランサイクリストになったような気がした。
この旅の走行距離: 計 314.2 km