2003年10月3日(金)〜5日(日)

念願の飯豊本山

福島に住むようになって大分経つのに、福島の名山である飯豊連峰への登山は、 なかなか実現しなかった。 1泊は少なくとも必要なタフな登山路と、その上に登れる時期が限られる。 みんな気候の良い時期にいっせいに登るので、山での混雑に気が乗らなかった。 2002年の梅雨の時期に気合を入れて入山したものの、濃霧になり、 雪渓でのルートに自信がもてなくなって途中の山小屋で断念したことがある。 今回こそ登るぞ!!

10月3日 (金)

会社を終え、夕食後に出発し、登山口手前までドライブ。 途中ドシャ降りにあい、 明日からの登山に不安を感じる。 大日杉登山口から登る予定なので、 その手前の白川ダムの駐車場に車を停め、一泊する。 就寝は21:45。

10月4日 (土)

昨晩の一杯のビールのおかげでぐっすり眠れ、4:30には起床。 まだ暗い。 大日杉登山口まで移動する。 途中で夜が明けたが、朝焼け。 天気予報では天候は回復に向かうはずなのだが。 少し不安。 登山口に停まっている車は5-6台。 まだ登山客は少ない。
6:00 登山開始。 歩き始めて体が温まるまもなく、ザンゲ坂の急登。 今回の登山は山中2泊の予定で、夜は氷点下になると思っていたので、 80Lザックにちょっと少な目の装備を入れて背負っている。 久々の重荷なので、 尾根に出てからは脚をつらないようにゆっくりと登る。 次第に青空が広がってくる。 涼しい。 昨年は視界が無かったので、今回初めて飯豊の山並みを眺めることが出来た。
8:05に地蔵岳 (1539m)。 良いペース。 少し休む。 ここから切合小屋まではだらだらとした稜線。 飯豊連峰の山並みを眺めながら、重い荷を担いで歩き続ける。 時々パラパラと雨粒が落ちるが、 青空も見える。 飯豊本山にはすっかり雪が降り積もっている。 昨晩のドシャ降りが、 山頂ではドカ雪だったようだ。 このあたりの標高 (1500m〜1700m) が最も紅葉の盛りで、 疲れを忘れさせてくれる。 昨年の梅雨時に迷いそうになった雪渓は、今は小川。 水の心配が無い、水の豊富な山だ。

(写真1: 紅葉の山並み)

10:30切合小屋到着。 30分弱の大休止をとる。 昨年はここまでしか来られなかった。 ここから先は未知の道。 でも視界はあるので問題ないだろう、と思っていたのもつかの間。 草履塚からの下りあたりから、ついに雪。 しかも横から叩き付けてくる。 先行していた3人組が、装備が足りないと判断して小屋まで引き返していった。 僕も完璧な装備ではなかったものの、ある程度は想像していた範囲だったので、 ジャケットとオーバーパンツを身につけ、一王子へと登り返す。 御秘所の岩場では、 強い風と冷たい岩、そして重い荷だったので、バランスにものすごく注意した。 気を抜いて足を踏み外したりバランスを崩して転んだりしたら、 そのまま谷底に落っこちてしまいそうだった。 風雪はますます強まり、 風上に顔を向けられない。 場所によっては吹き溜まりが出来ていて、 ヒザ近くまで積もっていた。 たった一時間だったのに、心身ともに疲れた。

(写真2: いきなりの風雪)

12:30に飯豊本山小屋に到着。 あと少しで本山山頂だが、とても歩く気になれない。 小屋に入って気が抜けた瞬間に、脚がつった。 どっちにしても今日は歩けない。 ここで一泊だ。
風雪は小屋に叩きつけているが、徐々に弱くなってきた。 次から次へと登山者が入ってくるが、 どうやら僕が歩いた時間帯が一番ひどかったようだ。
ささっと乾いた服に着替え、夕食を早くにとり就寝。 夜中に再びふぶき、小屋が揺れる。 今晩の泊まり客は、合計10人くらいになったようだ。

10月5日 (日)

4:30起床。 朝食の料理に使用したコッヘルの余熱で、出発直前まで服を温めて乾かそうとしたが、 乾ききらなかった。 予定では、今日は御西岳、大日岳まで連峰の中核をピストンしようと考えていた。 けれど、当然登山道は雪で隠れ、しかも視界が無く、服も乾いていない。 こんな状態で登山を続けるほど気合は入っていないので、早々に下山することに決めた。
6:30に本山小屋を出て、飯豊本山までのわずかな距離をわずかに見える足跡だけを頼りに山頂へ。 ようやく念願の飯豊本山山頂 (2105 m) に到着したものの、360度が霧。 また次回登る口実が出来た。 展望の良い飯豊を体験していないのだから。

(写真3: 飯豊山頂、視界無し)

7:30に本山小屋前を再出発し、下山路へ。 少し雲に切れ間が出来て、風も弱まってきた。 下りは雪のクッションがあるので、脚に負担は無いが、滑り落ちるわけにはいかない。 やはり緊張。 振り返ると所々に青空ものぞき、飯豊本山山頂も望める。 今山頂にいる人たちは僕よりもう少し良い景色を見ているんだなー。

(写真4: 雪をかぶった飯豊山)

切合まで下ると、雪も無くなりひと心地つくことが出来た。 地蔵岳までの稜線からは、 真っ白に化粧した飯豊連峰を背景に紅葉が昨日よりも輝いて見える。 この登山で一番心が躍った瞬間だった。 視界が広がり、自分が歩いたルートが良く見渡せる。 ずいぶん歩いたんだなー。

(写真5: 飯豊山とわたし) (写真6: 輝く紅葉)

緊張感もなくなり、ダラダラと下り続け、11:00に地蔵岳。 バテ出したのでここで休憩ついでに昼食をとる。 さらに下り下りて13:00にようやく大日杉の登山口に到着。 思わずガッツポーズ。

(写真7: 下山したわたし)

まだまだ体力が足りないなーと感じながらも、念願の飯豊本山に登れたという思いが、 この登山を思い出に残るものにした。 それには風雪がきつくて辛かったというスパイスも影響しているのだろう。



食事に関する参考データ
朝食昼食夕食合計
10/4 弁当(652 kcal), 菓子 (62 kcal), ジュース(150 kcal) おむすび x 3 (596 kcal) 白米(300 kcal), カレー(216 kcal), ハンバーグ (213 kcal) 2189 kcal
10/5 赤飯(367 kcal), ソーセージ(100 kcal), ハンバーグ(212 kcal) 栄養バー(600 kcal), ジュース(288 kcal) --- 1567 kcal

>>HOME