'97 北海道 夏 道北サイクリングと利尻山登山

1: プロローグ

8月8日 (金)

入社して1年と数ヶ月。 初めての長期休暇。 日程は9泊10日。 学校を卒業した時の冬のカナダサイクリング以来のキャンプツーリングだ。 自動車を運転するようになり、日常で自転車を使うことがめっきり無くなった。 日帰りサイクリングをしても、わざわざ重い荷を背負っての旅には出られなかった。 このままでは走らなくなってしまう。 目標にしているアラスカ走破なんて夢のまた夢になってしまう。

明らかに走り込み不足だったので、雑誌を重り代わりに積み早朝に寮の周辺を走った。 それでも足りない。 学生時代の体力には程遠い。 そんな中、出発の日を迎えた。

17:00まで働き、会社の食堂で夕食を済ませた後、すぐに出発。 自転車を分解し輪行袋にパックするなどの準備は、全て前日までに終えていた。 夏の装備だと言うのに何て重たいんだ。 久々だからか?

台風により活発化した前線のせいで、夏なのに梅雨のような天気。 東北本線のローカル線から北斗星に乗り継ぐ。 さて予約しておいたB寝台に行ってみると、 何と既に先客が居るではないか!! そのお客さんも正しいチケットを持っていた。 つまりはダブルブッキング!? 車掌に文句を言い、空いている号車まで重い荷を引きずって移動。

トラブルから始まったこの旅行。 この後いくつものトラブルが待ち構えていようとは。。。 明日の台風が次のトラブルか?

(地図0: 今回の旅の概念図)

8月9日 (土): 走行距離 60.7 km

目覚めると車窓から太平洋。 どんより曇っている。 夏だと言うのに寒々とした北の大地を、 列車は進む。 8:55札幌到着。 9:40のオホーツク3号に乗り換え、上川に12:01到着。 台風は消えたようだが雨。 明日までこの雨は続くようだ。 でも少ない日程の中で走るサラリーマンサイクリストは、雨だからと言って休めない。

自転車を組み上げ、出発前の記念撮影をしようとした時に、 カメラ内臓のTTL露出計用の電池が切れていることに気がついた。 僕の愛用カメラは、 1964年に登場し一世を風靡したPENTAXのSPという一眼レフ。 メカニカルシャッターの名機で電池は使用しない。 だから氷点下のカナダでも問題無く使えた。 ところが唯一電源を使用するのが内臓露出計。 ネガフィルムなら勘で露出を決めても良いが、 今回はリバーサルフィルムを持ってきていた。 リバーサルフィルムの有効露光域は、 5EVとネガフィルムの半分しかない。 簡単に言うと、適切な露出で撮影しないと、 白くとんだり黒くつぶれたりしてしまう。 30年以上前のカメラの露出計の電池を、 上川で探すのは無理だろうと思ったが、3軒目の写真屋に奇跡のように奥に眠っていた。 ちなみにこの電池は水銀電池なので、数年前に製造停止になっている。 トラブルだったのか、 ラッキーだったのか?

大喜びで層雲峡へ向かって走る。 '94年夏に、石北から層雲峡へ自転車で訪れたことがある。 その時の旅と線でつなぐためだけに、雨の中を片道20 km強の坂道を登る。 気温19‐20℃。 今回の旅は雨対策は万全。 ジャケット、スパッツ、グローブは全て透湿防水素材のGoreTex® を使用。 これまでの経験から、短パンの上に直に雨具だと、雨で濡れない代わりに汗で濡れる。 その汗が脚を冷やす。 これを防ぐため、ハイソックスの足先を切って、 簡単なレッグウォーマーを用意してきた。 これが適度に脚を引き締め、脚の冷えを防ぐ。 雨のサイクリングで寒い思いを全くしなかった。

ゆっくり坂を登り、切り立った峡谷の層雲峡に到着。 雨のためか、観光客も少ない。 3年前に来ているし、雨なので観光もそこそこに下ることにする。 取り敢えずは前の旅と線でつなぐことが出来た。

(写真1: 層雲峡その1) (写真2: 層雲峡その2)

下りは早かった。 1時間で下り、水と食料を手に入れ、石北本線の天幕駅へ。 雨の中、キャンプはしたくない。 テントを日本語訳すると天幕だから、 この駅で野宿するとテントで寝たことになるのかな?

ここは、無人駅。 1日に列車が1往復しか停車しない。 意味あるのだろうか? 18:25の列車は、上り旭川方面行きの最終列車であり実は始発最終列車でもあった。 乗降客なし。 こうして北海道の旅は始まった。

(写真3: 天幕駅) (地図1: ここまでの移動)




>>HK2へ

>>HOME   >>北海道 夏 道北サイクリングと利尻山登山