1991年春 西日本横断 - 39泊40日 2900 km

その5: 四国・後編: 3月21日 (木) 〜 3月25日 (月)

(地図1: 旅の行程概略)

3月21日 (木): 85.3 km

四国後半の旅が始まる。 Y木氏にお礼を行って出発。 高知のもう一つの観光地は龍河洞。 ここは既に見てきた秋芳洞 (山口)、龍泉洞 (岩手) と並び日本3大鍾乳洞と呼ばれている。 ここの印象は、 石柱にカラフルなライトアップで幻想的な景観を作り出していることだった。
根曳峠を越えて、四国内陸部の大豊町へ。 国道439号線に少し入った定福寺ユースホステルにチェックイン。 ここのユースホステルでは、五大修行コースを設定していて、それを達成した人を表彰している。 特に国道439号線は別名ヨサク街道と呼ばれ、京柱峠や見の越などのとても国道とは思えない厳しい峠を越えるルートとして、 車で走り抜けても表彰されるとのこと。 ヨサク街道には欄干が無い橋があるそうだ。 とても国道とは思えない。 連泊して挑戦する人も多いらしい。 僕はその峠越えを地図で見ただけで諦めた。

(写真2: 高知Y木氏下宿前)

3月22日 (金): 119.3 km

すぐれない天気の中、国道32号線経由で出発。 吉野川本流の激流景勝地である大歩危の入り口から、有料道路を経由して祖谷(いや)溪へ。 ここの名物は近くに自生する「かずら」という植物で編んだ吊り橋だ。 足場は隙間が開き、あまりにも揺れ、 途中で止まり動けなくなる人も多いと言う。 通行人がすれ違うのも危ないので、何と一方通行だ。 付近にはその昔平家の落人が逃れてきた。 そのため追っ手が来た祭に切り落とせるように、かずらで造ったと言われている。 傷みも激しいので、今は数年で架け替えられているそうだ。
深い祖谷溪をのぞき見るように渓谷沿いの道を下り、再び国道へ。 徳島県に入り、 甲子園を沸かした池田高校のある池田町を過ぎた頃には、日本一の激流と言われる吉野川はだいぶ大河の様相を示してきた。 川沿いにずっと下り、四国霊場6番札所の安楽寺内のユースホステルにチェックイン。 宿坊にはお遍路さんも多く泊っていた。

(写真3: 祖谷溪)

3月23日 (土): 89.4 km

霊場5番札所・地蔵寺、3番札所・金泉寺、2番札所・極楽寺そして1番札所・霊山寺と、道すがらに立ち寄る。 昨日今日で5つほど煩悩を断つことが出来たのだろうか? 徳島市には入らずに鳴門へ直行。 鳴門海峡の大渦を見たかったが、 潮が合わない。 海流は早いものの、小さな渦?のようなうねりが見られるだけだった。
香川県に入り、しばらく走っていたら、この旅で初めてのパンク。 修理の練習はだいぶしていたので、難なく完了。 でも思わぬロスで、体が硬くなってきた。 次の町の津田で走るのを止めた。
ここにユースホステルがあるはずだったが、休業中。 そこで、夏は海水浴場に面した津田の松原の琴林公園で、野宿をする。 すぐ近くの温泉に入ったので、野宿とはいえすっきりした。

(写真4: 鳴門海峡)

3月24日 (日): 99.4 km

四国に来て金毘羅様をお参りしないわけには行かない。 少し回り道だが、琴平の金毘羅宮へ。 本宮までの石段は785段もあるらしい。 長かった。 自転車で峠を越えるよりもきつい登りだった。 さすがにさらに500段弱登った奥社までは行かなかった。 それでも、讃岐富士が讃岐平野にぽつんとそびえる景色を見下ろす本宮からの展望は、なかなかだった。 下りの石段はさらに辛かった。
霊場75番札所の善通寺へ。 ここは弘法大師の誕生地。 真言宗の総本山でもある。 金堂、五重塔、鐘楼、御影堂、聖霊殿、 本坊などが立ち並び、一大霊場となっている。
高松へ。 栗林公園は日本3大名園を凌ぐと言われる特別名勝。 確かに広く、かつ一歩一景と称される情緒豊かな景色は、 たいしたものだ。 特に飛来峰から偃月橋 (きょうげつきょう) という名の太鼓橋への眺めは、 この旅で最も印象に残る美景の一つだった。 まだ桜は咲いていないものの、雰囲気はもおう春だった。
夕食に名物讃岐うどんを食べ、高松港のフェリーターミナル前の公園で2日連続の野宿。 だいぶ野宿にも慣れてきた。

(写真5: 金毘羅様) (写真6: 栗林公園)

3月25日 (月): 50.9 km

高松から早朝のフェリーに乗るが、これで四国の旅が終りではない。 実は思ったより旅程が進んでいて、 1日くらい寄り道が出来る。 当初予定はしていなかったのだが、少し気になっていた瀬戸内海に浮かぶオリーブ王国、 小豆島へ行くことにした。
土庄港から上陸。 まず出迎えてくれるのが平和の群像。 これは小豆島を舞台に書かれた名作「二十四の瞳」に出てくる大石先生と12人の子供達の像だ。 そして内海地区にあるユースホステルに、早々にチェックイン。
荷をユースホステルに置いて、軽くなってから島を廻る。 小さな島だが、見所は多い。 島で一番高い城山 (標高817 m) の斜面に、 寒霞溪という断崖の景勝地がある。 寒霞溪の麓まで道路を登り、そこからは登山道のような細い未舗装の道を、自転車を押して登った。 ニホンザルが多い。 上から見下ろす断崖は、自力で登ってきた高揚感で大満足の景色に見えた。 多くの観光客は、ロープウェイで登りその途中の景色を楽しんでいる。
ぐるりと城山を巻いてきた県道と合流し、あとは下るのみ。 瀬戸内海を見下ろしながらのダウンヒル。 気持ち良い。 オリーブ園などに立ち寄って、四国の観光を終えた。

(写真7: 二十四の瞳) (写真8: 寒霞溪)

この区間の旅の行程。

日付 行程 走行距離 宿泊地 宿
3/21高知 ⇒ 龍河洞 ⇒ 豊長・定福寺 85.3 km高知県・豊長YH
3/22豊長 ⇒ 祖谷 ⇒ 池田 ⇒ 上板・安楽寺119.3 km徳島県・上板YH
3/23安楽寺 ⇒ 鳴門 ⇒ 津田 89.4 km香川県・津田野宿
3/24津田 ⇒ 琴平 ⇒ 高松 99.4 km香川県・高松野宿
3/25高松 =(フェリー)= 小豆島 ⇒ 寒霞溪 ⇒ 小豆島 50.9 km香川県・小豆島YH

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